見えない人、見えにくい人、見える人、その誰もが楽しめる本を多くの人に届けたい―これがメノキ書房の願いです。障害の有無にかかわらず誰でもが読書を楽しめる、そんな社会を実現するための一助となりたいと考えています。
メノキの「メ」は「目」であり「芽」です。「キ」は木。木の芽を吹かせ、心の目を育てあげていきます。
当社では書店などの流通も視野に入れた自費出版(エッセイ、自叙伝、歌集、句集、写真集など)の制作のほか、文章作りの手助け、リライト作業などの相談もお受けしています。
メノキ書房
デジタル優先の時代、あえて紙の媒体にこだわり出版社を立ち上げました。本を手に持ち、一枚一枚ページをめくる。紙の質感に触れ、インキの匂いを嗅ぎながら言葉が紡ぐさまざまな世界をワクワクしながら楽しんでいただきたい―それがメノキ書房の願いです。好きなもの、伝えたいものを、愚直に、わがままに作り続けていきたいと思っています。短い言葉で想像の羽をどこまでも広げられる絵本を中心に、障害を持つ人も持たない人も、誰でもが読書を楽しめる書籍の出版を息長く続けていきたいと願っています。
新着情報
『爺さんとふたり』第38話「錯乱」
お盆休みが終わり、子どもたちの夏休みも終盤に差し掛かりました。
今年は酷暑日もありましたが、台風による水や土砂の災害に見舞われた地域も多く見受けられ、明日は我が身と思い補充を兼ねて災害対策セットを見直しています。
さて前回は…
真夜中の大音量コールは2晩続けて同じことが繰り返され、駆けつけると「ここはどこだ。家に帰る」。いくら「ここはお爺さんの家だよ」となだめても、いったんは納得するものの、結局は同じことの繰り返し。何度目かのコールに、頭の中は切れそうになり、ムカムカしながら爺さんの部屋に入るなり、「いったい何時だと思ってんのよ。いい加減にして‼」と声を荒げてしまいました。そんな私の剣幕にあっけにとられた爺さんは言いました。「あんた一体誰だね?」。この言葉でさらに怒りに火がつき、「何言ってんのよ。ヒロコじゃない」と、怒鳴り続ける私。すると爺さんは妙に落ち着いた声で「ヒロコ?ヒロコがそんなに怒るわけがねえ」と一言。この言葉に、頭に上っていた血が一気に引いていくのがわかりました。「そうだ、一番つらいのは爺さんだった…」。胸の奥がちくりと痛みました。あとは自己嫌悪、自己嫌悪、自己嫌悪です。
しかし、このままでは私の方が参ってしまう…主治医と相談した結果、夜間に眠剤を使うことになりました。
本日は、
『爺さんとふたり』 第38話「錯乱」
をお送りいたします。


いいかがでしたか?
寝たきり老人との真夜中の凄まじいバトルを繰り返しては体が持たないと判断した私。主治医と相談した結果、眠剤を使って眠ってもらう事になりました。爺さんの場合、薬の注入も胃ろうを介して行います。
効果はてきめんでした。爺さんはいびきをかいて眠り、私は久しぶりに熟睡ができました。「この調子でいってくれれば」と思ったのもつかの間、眠剤投与にはいくつか弱点がありました。ひとつは、就寝時に口呼吸となってしまっているため口内が乾き、痰が多くなってしまうことでした。痰が喉の奥に張り付き、呼吸が苦しくなっていました。もうひとつは、幻覚症状が時々見られるようになってきたことでした。主治医が眠剤の種類を変えて投与してくれましたが、薬によっては強い幻覚を見たり、反対に全く効かず、真夜中のバトル再来という事態にも。
そしてある夜、90歳間近の寝たきり老人の声とは思えない大声が家中に響きました。午前3時のことでした。
次回は 2026年9月1日(火) 第39話「父のライフスタイル」午前10時頃更新予定です。
次の『爺さんとふたり』もぜひ!楽しみにお待ちください!
『爺さんとふたり』第37話「夜中の大バトル」
地震大国日本、とは言いますが…最近は大規模な地震が短期間に起こり、海外でも地震による壊滅的な被害がニュースを賑わしております。7月28日16時27分ごろ発生した「令和8年熊本地震」は、被害の実態が日を追うごとに明らかにされ、その規模の大きさに言葉を失ってしまいます。約10年という期間に2回も被災された方も多いと聞きます。心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興を祈念いたします。
さて前回は…
「家に帰れて、感無量」と涙していた爺さん。しかし、その涙が乾く間もなく、暴走が始まります。
爺さんとは、居間と私の寝室を呼び出しコール機でつなぎ、いつでも用事があれば駆けつけるようにしていました。すると、「命綱」と心得た爺さんはコールボタンを離しません。1日4回のヘルパー訪問の他、日を替えての訪問看護や訪問入浴、さらには見舞客などの合間を縫って、爺さんは何度もコール。
一番困ったのが、帰宅後3日目から始まった真夜中のコールでした。ほぼ1時間ごとにお呼びがかかります。駆けつけると、「ここはどこだ?」。何とかなだめても、1時間後にまたコール。呼び上げられる私は眠る間がありません。
4度目のコールで、私はついに堪忍袋の緒が切れました。
本日は、
『爺さんとふたり』 第37話「夜中の大バトル」
をお送りいたします。


いいかがでしたか?
真夜中の大音量コールは2晩続けて同じことが繰り返され、駆けつけると「ここはどこだ。家に帰る」。いくら「ここはお爺さんの家だよ」となだめても、いったんは納得するものの、結局は同じことの繰り返し。何度目かのコールに、頭の中は切れそうになり、ムカムカしながら爺さんの部屋に入るなり、「いったい何時だと思ってんのよ。いい加減にして‼」と声を荒げてしまいました。そんな私の剣幕にあっけにとられた爺さんは言いました。「あんた一体誰だね?」。この言葉でさらに怒りに火がつき、「何言ってんのよ。ヒロコじゃない」と、怒鳴り続ける私。すると爺さんは妙に落ち着いた声で「ヒロコ?ヒロコがそんなに怒るわけがねえ」と一言。この言葉に、頭に上っていた血が一気に引いていくのがわかりました。「そうだ、一番つらいのは爺さんだった…」。胸の奥がちくりと痛みました。あとは自己嫌悪、自己嫌悪、自己嫌悪です。
しかし、このままでは私の方が参ってしまう…主治医と相談した結果、夜間に眠剤を使うことになりました。
次回は 2026年8月18日(火) 第38話「錯乱」午前10時頃更新予定です。
次の『爺さんとふたり』もぜひ!楽しみにお待ちください!
『爺さんとふたり』 第36話「父の暴走」
梅雨… この時期は油断しているとなんでも傷んでしまうので気が抜けません。
なのに… 先日、お味噌汁をだめにしてしまいました。よりにもよって自分が好きな
具材の時に。
たっぷり作ったお料理を、食べずに捨てる瞬間ほど悔しいことはありません。
お味噌汁に限らず、食べ物には十分注意して美味しくいただきましょう。
さて前回は…
とうとう始まった在宅介護。身体的介護は「プロ」であるヘルパーや看護師に任せ、
精神的な支援は「家族」である私が担う、という形になったものの、日中、夜間、一
人で介護を担う私にとって、大きな課題はオムツケアでした。
オムツの世話をした経験がない独身の私にとっては、まさに「未知の世界」。在宅介
護に切り替えることを躊躇した理由の一つも、オムツケアでした。とはいえ、腹を括
らねばなりません。まずは、ヘルパーさんのケアの様子を観察させてもらうことにし
ました。
ヘルパーさんの介護技術は、「流石」の一言でした。
施設などでのオムツ交換は、通常、尿取りパットだけ交換して終わり、となるのです
が、ヘルパーさんは違いました。シーツを濡らすことなく、テキパキと局所をお湯で
洗い流してくれるのでした。その手際の良さは、まさに「プロの技」でした。
本日は、
『爺さんとふたり』 第36話「父の暴走」
をお送りいたします。


いいかがでしたでしょうか
「家に帰れて、感無量」と涙していた爺さん。しかし、その涙が乾く間もなく、暴走
が始まります。
爺さんとは、居間と私の寝室を呼び出しコール機でつなぎ、いつでも用事があれば駆
けつけるようにしていました。すると、1日4回のヘルパー訪問の他、訪問看護師や訪
問入浴、見舞客などの合間を縫って、爺さんは何度もコールを鳴らします。
一番困ったのが、帰宅後3日目から始まった真夜中のコール。ほぼ1時間ごとにお呼び
がかかります。駆けつけると、「ここはどこなんだ?」。何とかなだめても、1時間
後にまたコール。私は眠れません。
4度目のコールで私はとうとう堪忍袋の緒が切れたのです。
次回は 2026年8月1日(土) 第37話「夜中の大バトル」午前10時頃更新予定です。
次の『爺さんとふたり』もぜひ!楽しみにお待ちください!
書籍商品
メノキ ギャラリー
Menoki Galleryメノキ書房とかかわりの深いアーティストの作品を紹介、販売します。 第一弾として、メノキ書房刊 詩画集『かべとじめん』の原画を販売します。
