『爺さんとふたり』第38話「錯乱」

2026/08/18

『爺さんとふたり』第38話「錯乱」

お盆休みが終わり、子どもたちの夏休みも終盤に差し掛かりました。
今年は酷暑日もありましたが、台風による水や土砂の災害に見舞われた地域も多く見受けられ、明日は我が身と思い補充を兼ねて災害対策セットを見直しています。

さて前回は…

真夜中の大音量コールは2晩続けて同じことが繰り返され、駆けつけると「ここはどこだ。家に帰る」。いくら「ここはお爺さんの家だよ」となだめても、いったんは納得するものの、結局は同じことの繰り返し。何度目かのコールに、頭の中は切れそうになり、ムカムカしながら爺さんの部屋に入るなり、「いったい何時だと思ってんのよ。いい加減にして‼」と声を荒げてしまいました。そんな私の剣幕にあっけにとられた爺さんは言いました。「あんた一体誰だね?」。この言葉でさらに怒りに火がつき、「何言ってんのよ。ヒロコじゃない」と、怒鳴り続ける私。すると爺さんは妙に落ち着いた声で「ヒロコ?ヒロコがそんなに怒るわけがねえ」と一言。この言葉に、頭に上っていた血が一気に引いていくのがわかりました。「そうだ、一番つらいのは爺さんだった…」。胸の奥がちくりと痛みました。あとは自己嫌悪、自己嫌悪、自己嫌悪です。
しかし、このままでは私の方が参ってしまう…主治医と相談した結果、夜間に眠剤を使うことになりました。

本日は、

『爺さんとふたり』 第38話「錯乱」

をお送りいたします。





いいかがでしたか?

寝たきり老人との真夜中の凄まじいバトルを繰り返しては体が持たないと判断した私。主治医と相談した結果、眠剤を使って眠ってもらう事になりました。爺さんの場合、薬の注入も胃ろうを介して行います。

効果はてきめんでした。爺さんはいびきをかいて眠り、私は久しぶりに熟睡ができました。「この調子でいってくれれば」と思ったのもつかの間、眠剤投与にはいくつか弱点がありました。ひとつは、就寝時に口呼吸となってしまっているため口内が乾き、痰が多くなってしまうことでした。痰が喉の奥に張り付き、呼吸が苦しくなっていました。もうひとつは、幻覚症状が時々見られるようになってきたことでした。主治医が眠剤の種類を変えて投与してくれましたが、薬によっては強い幻覚を見たり、反対に全く効かず、真夜中のバトル再来という事態にも。
そしてある夜、90歳間近の寝たきり老人の声とは思えない大声が家中に響きました。午前3時のことでした。

次回は 2026年9月1日(火)  第39話「父のライフスタイル」午前10時頃更新予定です。

次の『爺さんとふたり』もぜひ!楽しみにお待ちください!


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